これはタミヤ製キット1/35「カーロアルマート」です。
すっごく古いキット。でも最近再販された懐かしいキットだったりします。
一番上の写真はキットの箱と同じアングルで撮影したものです。
完成して撮影しながら思ったこと・・・・「正面から見てこれほどイケてない戦車も珍しい!」
他のタミヤのキットの箱を眺めてくらべたりしてみると、正面斜め横、側面斜め前という絶対的なアングルが見出せるのだが、なぜかこのキットは斜め後方からの絵柄だったりする。
何故にそのアングル?
背面、側面はそれなりのディテール感じさせてくれるのだが、正面、特に車体の部分が非常に簡素なデザインだったりして、のっぺりと退屈な印象を与えてしまう。この正面装甲は相当陰影をつけないと、もろにおもちゃみたく仕上がってしまう。
多分パッケージデザインの際にも同じことを感じた人がいて、箱絵は正面じゃなくなったんだろうなぁ〜(子供ウケ悪い)と憶測。
でもこの情けない正面にも魅力はあるのです。
普通じゃ浮かばない【二丁拳銃】ならなぬ【二挺機関銃】です。これは他ではなかなかお目にかかれないチャームポイント♪




背面は力強いお父さんの背中
正面はくたびれて無精ひげのお父さん
不思議な二面性を見せてくれる。

さてこの戦車を駆って北アフリカで大活躍を見せたイタリア軍。
その軍隊のスバラシさをここで少しだけ語ってみよう。
当時の日本兵とロシア兵は私物をあまり携帯していない。
出征の際に家族が渡してくれる千人針のハチマキとか腹巻、神社のお守り。私物なんてほとんどない。戦死すると遺髪が届けられるという【私】をほとんど許されない状況。
米軍なんてものは私物をたんと持って歩く。全体主義と個人主義の違いなんでしょうね。
その米軍以上に私物を持ちあるくのがイタリア軍。
本来この砂漠仕様のイタリア戦車には標準装備でなければならないパーツがあります。
それは公共の私物ともいえる、パスタを茹でる巨大ナベです。鍋というより釜。パスタを美味しくいただくにはたっぷりとお湯をつかって茹でるのがコツです。ここが重要です「お湯をたっぷり」
砂漠で貴重なのは・・・・・水。
お湯をたっぷりですよ。
どうやって沸かしたのでしょう?
塩もいれてゆでますよね。
残り湯はどうしたのでしょう?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(思考中)


ガッツのかけらも無いイタリア軍も危機に瀕したときにはすごい根性見せます。
それはどんな時か?
物資が欠乏状態になったり、怖くなったりすると、イギリス軍目掛けて進撃を開始します。
少数でもイギリス歩兵を見かけると大勢でよっていきます。
寄っていって、イギリス兵の前にライフルを捨てて「捕虜になる」といいはなつ。
もしこれでイギリス兵が捕虜にしてくれないと、ライフルを手にとってイタリア軍の進撃は再開されます。次の捕虜にしてくれそうなイギリス軍を捜し求めて・・・・・

ドイツが最初にアルデンヌの森を突破した時。イタリア軍は戦争準備してなかった。
南仏に進軍した際にイタリア兵の脳裏にあったのは「勝利」ではなく「パリジェンヌ」。

そう、彼らはプランに従って行動するのではなく、個人の欲望で戦場に存在し、個人の感情で「逃げる」か「捕虜になる」かを決定する。ある意味【個人主義】の最先進国というべき存在です。
憲法9条を語る日本が世界的にすばらしいコトなんだ!と自負する前に、50年以上前に非戦・武装放棄の彼らの行動をまず称えるべきです。もともと彼らは情熱的でお調子者で陽気で饒舌で楽しい人々なんです。
問題があるとすれば、それはよそ(自国領土外)に出ていってすぐに非戦・武装放棄してしまうことでしょう。
このカールアルマートも砂漠でたっぷり鹵獲され、もてあましたイギリス軍はオーストラリアやニュージーランドの歩兵師団に分け与えたそうです。

なんかイタリア軍をバカにしてるようにとられるかもしれませんが、そんなことはありません。
この当時自国で戦車や飛行機を作れるっていうことはとてもスゴイことなんです。当時で考えればこれらはすべて超ハイテク兵器なんです。軍艦なんかもっと大変です。こういったものはアングロサクソンの一部と日本人だけです。空母を作って運用できるなんて日本とアメリカとイギリスだけです。
今も昔も軍事力は経済力によってささえられています。今日の世界も当時とそれほど変わっていない気がします。為替・証券・商品の市場を考えた時にベネズエラとかプエルトリコとかホーチミンとかまったく関係ないし、ソウルすら影響ない。ニューヨーク・ロンドン・トーキョー・フランクフルトが主戦場です。
日本人は下を見て安心する癖があります。
とある有名ブランドをアラブ資本に買収されたイタリア企業、東京の屋台で指輪売ってるのをイラン人かと思ったら、ソノのしたっぱのイタリア人だったりする。
つまりナニが言いたいかというと、日本人はもう少し自信をもって存在すべきです。そして余裕をもち、余裕をみせるべきです。さあみんなでイタリアを褒め称えましょう。こころのゆとりはイタリアを褒め称えるところから始まります。
プラモ一個つくってココまで思考が飛躍する奴も珍しいでしょうが、一個のプラモからいろんなことが見えてきます。なんにでも興味をしめし、取り入れ、器用にそれ以上のものをつくりだす日本人。赤毛人どもは400年以上前に日本人のそれに気づいています。1500年代に最初に日本にきた鉄砲は100年とたたず、ヨーロッパの鉄砲数を上回り、射程も精度も上回るシロモノ。危惧をいだき与えなかった大砲、それすらつくってしまう日本人。赤毛人すらもたぬ鉄張りの戦船をつくる日本人!
そんな偉大な日本人の末裔として、一部として、ホンモノつくるかわりにせめてプラモつくりましょう。
プラモつくる時間があるってことはゆとりです。

日本国の国債は795兆円です。いまさら下向いてもどうしようもありません。

平成17年10月18日 たけ