多分1/35scale マントイフェルちゃん(042)

2014冬モデル

1/35 sdkfz138/2 HETZER イタレリ製

【完成直後の撮影】
ヘッツァー(38式駆逐車)の塗装は「光と影」とよばれる三色迷彩です。
初期型のヘッツァーはダークイエロー単色の車両もありですが、中期以降のモデルは工場で迷彩が施されて出荷されるので、ほぼこのパターンになります。
タイガーUやパンサーG(44年後半)もこのパターンが多いはずです。

戦略級や戦術級ゲームなら「ヘッツァーで十分、数をそろえておけばいい」って思ってしまいます。
そんな意味では安くて強いT34とかM4シャーマンもいいです。
ただ、戦闘レベルだと「ヘッツァーでいいのか?」って思ってしまいます。

意外と硬いヘッツァーの正面装甲。
M4しゃーまんのA2、A3に積まれている75mmM3では、ヘッツァーの正面は100M以内でもどこも貫通しない。
対してヘッツァーの7.5cmPAK39は車体正面の上部は貫通しないものの、下部は1300M。砲塔は防盾部で100M以内、防盾以外は1000Mで貫通。
ただ、このデータは侵入角30度となってるから、真正面だともう少しお互い貫通してしまう。
横はお互いものすごく弱い。お互い3000Mでどこにあたっても貫通してしまう。
ただ、シャーマンが旋回砲塔を有しているのに対し、ヘッツァーは旋回砲塔を持っていない。
横向いて打ち合うは成立しないが、先に横にあてたもの勝ちなのは証明できる。
ただ、ヘッツァーの横はどうにもならない、20mm厚ではライフル弾は弾いてもM2重機関銃を至近距離でうちまくられると穴だらけってことにもなりかねない。

しかもヘッツァーは足が遅い。
スペック上の最大速度は40km/hとか42km/hだが、通常は路上走行20-30km/h。不整地だと15km/hくらい。
車体約16tにエンジン出力160馬力。T34の30tで450〜500馬力とパワーウエイトレシオがぜんぜん違う。
ヘッツァーはきゅんきゅんはしってパンパン撃つ車両にあらず。

ヘッツァーはあくまで自走砲。戦車とまったく同じという運用はできない。
トラックで大砲ひっぱらなくていい。その場合射撃体制とれる展開状態に早くても10〜20分かかってしまう。
ヘッツァーは遅いながらも自走して、ある程度防御できる装甲を有する対戦車自走砲。

そもそも歩兵師団(国民擲弾兵師団)直協の対戦車戦闘兵器、つまりは防御用。
代用戦車としてよりも自走砲としての色が濃い。


【ゲームでも戦場外でもあまり考慮されない居住性】
38(t)という軽戦車を少しワイドボディーにした車体に排気量7752ccのエンジンを載せ、絶対に改めないリアエンジンフロントドライブで中央をドライブシャフトが突っ走る。75mm砲とその弾薬41発、無線機にカニメガネまで積んで乗員は大人四人。超マッチョな海兵隊員がフルメタルでジムニーに乗り込むような感じだ。
コンパクトボディで被弾命中修正の恩典もあるし、数揃える上では安上がりこの上ない装甲戦闘車両だとは思うが、窮屈このうえないのは確か。三号突撃砲に乗員がのってる写真をみたが、あれも窮屈そうだった、三号シャーシよりあきらかに小さい38(t)ベースのヘッツァーはなんにでも手の届く三畳間の万年寝床(しきっぱなし布団)の男の部屋みたいなイメージができる。
そもそも38(t)を少しワイドにしたくらいで75mm砲が積めるのだろうか?
実際車体が量産されてるから積めるのは確か。ただ、涙ぐましい努力が存在するのは理解できる。
砲が中心にない。砲は右に寄っている。これで左にスペースを多く確保している。
左は九七式艦上攻撃機のように三人並び席が配置されてる。一番前が操縦手、二番目が砲手。
ここまではいい。三番目は誰だ?そこには無線機がある。通信手というのが順当なとこだ。
三列シートはそれでいいとして、孤立した右側一人はだれだろう。カニがあることからコマンダーと思われる。
ただ、不思議なのは砲の構造。砲のカートキャッチャーとともに組み込まれてるガードが通常の戦車砲と同じ向き。つまり装填手は右配置になる構造。わかりやすく言うとカニがある側に装填手がこないと弾こめがとんでもなく大変ってことだ。(まずムリ)
先ほどの三番目のシートは無線を使うひとが座るのだが、無線手兼装填手というのは無理がある。
無線手が専任としたら、車長が弾込めする仕事も担うことになる。
T34では運転手の車長も存在したらしいが、あの国は例外と考えないと。
そもそもT34/76に車長はいたのだろうか?砲手・装填手・操縦手・通信手という内訳が適切に思われる。

「キューポラがない!」
そもそもヘッツァーは全周視界を確保できない。(ペリスコープまわして頑張る?)
三号突撃砲Gにはキューポラついているからあれは代用戦車たりえるが、戦車じゃないから全周視界はどうでもいい。つまりは乗員は装甲で守りますって言う移動砲。こちらが発見されない状況で戦車を仕留めるパンツァーイェーガー。一号対戦車自走砲がフランス戦で軍や軍団に配備され「やばそー」なところに火消にまわるのと同じ扱い。ヘッツァーの場合は歩兵師団直協の対戦車自走砲。パンツァーカイルの先陣に位置する「戦車」とはあきらかに違う。

戦車戦闘をするならコマンダーは三列最後部の無線席だろう。でも、対戦車砲として考えるならコマンダーが砲越しに各員への指示をしつつ、カニめがね覗きながら「あー標的はあそこね」と弾込めしながら指揮もできる。

【砲弾はドコ?】
弾体幅が7.5cmであって薬きょうを考慮すると一発は10cmくらいになる。1Mで10発。
車体全長は5M足らず。車体後部傾斜が始まってるところからしっぽまではエンジンルーム。
三列シート側は最前部がドライブミッション、すぐ運転席。砲弾が積めるのは砲手席のあたりから通信手席の車体側面下部に数発のみ。車体上部には通信手をL字で無線機を配置してあるので砲弾を積むスペースがない。
ほとんどの砲弾は車体右側に配置されてる。つまりコマンダー(車長)席といわれてる側。

【本来の役割】
車体左前から、操縦手、砲手、通信手兼装填手、車体右側がコマンダー(車長)

ただ、内部構造や弾薬配置から考えると、コマンダー(車長)兼装填手が適切としか思えない。
ああ、やっぱりしっくりこない。

会社で考えてくれ、伝票打ち込み作業をする課長。お茶をくむ課長。そうしながら指揮をとる。(装填手兼車長)
本社と連絡とりながら指揮する課長。(通信手兼車長)


【砲兵だよ】
人員の内訳考えてもあまり意味がない。移動、停止即射撃なんとことする車両じゃないんだ。
戦車ほどに、全員がひとつとなって、戦車というものを生き物のように動かす必要はない車両。

そもそも服をみればわかるがフィールドグレーの服。戦車兵なら黒が基本だからね。

「これならマーダーUでいいじゃん」って気がしてくる。
オープントップのほうが排気はいいし、車体後部ぎりぎりまで戦闘室として使えるマーダーUやVのほうがよく思えてくる。



【かわいいからいいじゃん】
車体長5Mたらず、幅2.6M高さ2Mちょい。乗用車よりはちょっとおっきいかな?ってサイズに7700ccのエンジンと75mm砲とその弾薬つんで大人四人のってる。とっても窮屈な車両。
排気量7700ccと聞くと驚くひともいるかもしれないが、キングタイガーの700HPのエンジンは37000cc(三万七千)だ。

もう、お金がない、燃料もないって戦局ではキングタイガーではなくヘッツァーみたいなほうがはるかにありがたいことは確か。
(くどいけど、マーダーでもよくね?)


さて、この枯れ芝で撮影してる写真。これは2014冬WF終了後の三月に撮影したものです。
オリンパスのミラーレス機に備わってる「ラフモノクローム」というモードで撮影したのが下の写真。

一回のシャッターレリーズで設定してあるモード全部の撮影をこなしてくれます。
ワンシャッターで「がしゅんがしゅんがしゅん」と撮影されます。
便利です。ただ、面白がって多様するとその分メモリーはくいますし、撮ったものを見るとき大変です。
それでピントがあってなかった日には、わるたん(WoT)のM5の37mm砲(連射タイプ)のように全弾ハズレって感じです。

ただ、決まると楽しいです。

この
「ラフモノクローム」ってのは二次大戦の戦車の模型の撮影するのにはいいなーとつくづく思います。
ざらっとした白黒は「いかにも」な感じを演出してくれます。

たぬきさんにEPLを薦めたのは、被写体の大きさ、被写界深度(ピントの深さ)、ローアングル撮影といった条件だけでなく、この付加機能もあったればこそです。


何が何でもフルサイズなんてのはバカの所業。
古くなったフルサイズを自慢げにまだつかってるのも同じ。

ミラー機構型は実像ファインダー方式なので撮影状態の色の確認ができない。だからRAWモードが必要。
コンパクトとくくられるデジカメも視野率100%。ミラーレスも同じ。撮影される絵が液晶に表示されてるのだから。
高いカメラだと砂も雨も気になる。防塵防滴といってもどうしたって気になる。完全防水となってれば別だけど「防滴」のなだから。その点EPLなら割り切って使える。やっちまったらやっちまっただ。

【キットはイタレリ】
別に問題なし。と言いたいとこだけど、イタレリタミヤとはやっぱり違う。
まず、成型色はあろうことかジャーマングレー。なんでだよ、この車種はダークイエローが基本色のはずだろって言いたくなった。どうせ塗ってしまうのだけど、下地が濃いグレーってのもちょっと手間。
あとオイリー。離形の為なのかとってもオイリーでした。
致命傷はキャタピラ。タミヤの古いキット以上に塗料がつかないキャタピラ(熱でじゅっと止めるタイプ)。
材質は塩ビでも、なんつーかビッグワンガムのキットみたいな材質で塗装はかなり難しい。
車体後部にはりついてる呼びのキャタピラもビッグワンガムクオリティ。(いや、当時ビッグワンガムのビスマルクはうれしかったぞ)


【背景にひっぱられるがごとく】
一番上の写真は2月の撮影、こちらは同年5月の撮影。
2月の撮影は笑っていても、どこか寂しげ。こちらとはちょっと雰囲気が異なる印象をうける。(被写体はなにもかわってないのですが)
春から夏へと向かう季節のなか、咲き誇る薔薇を背景に撮影。

こういう風に撮影できるのは、自分で作ったから。
何もつくらない人にはこういう背景は絶対手にはいらない。

背景用スクリーンシートも何種類か持ってますが、そうじゃない。
自然と一体になる模型というのがあっていいと思う。



平成29年2月10日たけちよ記