【西方電撃戦-クライスト集団-】

1/35scale グーデリアンちゃん(023)、バイエルラインちゃん(24)、クライストちゃん(054)、ラインハルトちゃん(055)
シャールちゃん(056)、ルントシュテットちゃん(059)、ファイエルちゃん(060)、キルヒナーちゃん(061)

1/35scale キューベルワーゲン、BMWR75サイドカー、ホルヒ1a、二号戦車C

ロケ地:多摩川河川敷(川崎側)



ホルヒ、サイドカークライスト、二号シャールの写真がりざあ堂HPに少ないのはこの撮影の為です。
西方電撃戦-クライスト集団-のコンポーネントでの撮影が前提にあったればこそ。
装甲師団(戦車師団)というと「戦車がいっぱい」ってイメージを浮かべがちですが、実際のその当時の装甲師団の戦車配備数というのはそれほどでもないのです。とはいっても一個師団あたり180両〜200両配備してるので今の自衛隊とくらべればとんでもない数です。ただ、戦車以上に多く配備されてるのが、タイヤの車両です。オートバイ・サイドカーだけでも戦車の数を簡単に超えてしまう数です。
戦車を効率的に運用するには戦車単独では成り立たないのです。
はるかのちイスラエルが「オールタンクドクトリン」なんてものを考えちゃったなんて思い込んだのは、とんでもない勘違いです。
第二次大戦の戦車先進国では「そんなもの成立しない」ってことを理解してたのです。

最初に戦車(タンク)が戦場に現れたとき(ソンム会戦)、ドイツ軍はあわてふためき右往左往。だが慣れてしまえばそうでもない。
直協歩兵のいない、数も少なく戦車のろのろ動く戦車は野砲の照準射撃で撃破。
カンブレーの戦いからで戦車の数を揃え、諸兵科連合(歩兵・砲兵・戦車)作戦で成功。(それでも結局は戦車半部くらいやられちゃったけど)

つまり「オールタンクドクトリンは成立しない」というのはソンム会戦で英仏独がすでに理解していたこと。



【いけいけ二号戦車】
写真撮るときちょっとスカスカ予想できたので、ヘルラインとフェルスターにご登場願った次第。(背景ならかまわんだろ)


1940年当時のドイツ軍装甲師団の戦車充足率はかなり高い。バルバロッサ開戦当時よりはるかに多い。
先にも書いたように1940年の西方電撃戦で1個装甲師団の戦車保有数は180-200両。
クライスト集団を構成する二個の装甲軍団には、グーデリアンの装甲軍団とラインハルトの装甲軍団で、5個装甲師団が配備されている。1000両近い戦車がクライス集団に配備されていることになる。
但し、そのほとんどは一号、二号戦車、35(t)、38(t)といった軽戦車に分類できるもの。

でもやっぱすげぇ。戦車のみで1000両指揮下におくクライスト集団。タイヤの車両は3倍以上はいるだろう。
これ以外に普通の人が戦車にいれちゃう、自走砲に分類する車両やハーフトラックがいるのだからとんでもない数だったのは間違いない。

フランスの田園地帯の農家のおばさんがドイツ軍の戦車にむかって「敵はあっちだよ!」と戦車が来た方を指すのもわかる。
わらわらゾロゾロ現れる戦車が敵のものとは思わない。自分の農地に、フランスの国土に敵がこんなに現れる訳がないって思ってしまうだろう。

例えば、長野県全域に5000両の軍用車両が突如あらわれたら・・・
「今日は祭りか?」となってしまうだろう。

その驚きは、山からイノシシが出てきて農作物食べてしまった比ではない。



【西方電撃戦】
監督:ヒトラー、脚本:マンシュタイン、主演:グーデリアン

西方電撃戦前の作戦は第一次世界大戦とかわりばえしないものだった。(シュリーフェンプラン)
軍はベネルクス三国経由で自動車のワイパーのように機動する進行プラン。
海岸ルートをあるき続ける歩兵の距離は内陸地配備部隊の3倍になってしまう。非現実的。
実施プランは内陸地から足の速い部隊(装甲師団)が地図でみると下から突き上げるような感じで海岸線を目指すもの。巨大な方翼包囲。(マンシュタインプラン)
マンシュタインは作戦ねじこんだせいで、主演からおろされる。
主演:クライストとなってもおかしくないのだが、のちの世は主演グーデリアンと決定してしまう。(ラインハルトは候補にすらならない)

「二度の停止命令」
快進撃を続けるグーデリアンの第19装甲軍団
クライストの眼には「突出する装甲部隊、側面の危険、敵中孤立包囲殲滅の危機、連絡途絶(補給ライン確保って意味ね)」いろんな考えが浮かんだのだろう。後の世からみればこの停止命令は間違いとわかってもその時「見えないもの」「理解できないもの」というのはあるのです。
停止命令がでると、グーデリアンはぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん!クライストもお返しにぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん!
ルントシュテット御老体がでていって「まぁまぁ」的な解決。
そもそも同じ階級で上官・部下となる人事ミスが最初からあったように僕は思う。
A軍集団(ルントシュテット)の下には第12軍というのがあってクライスト集団の上に位置し、リスト将軍がそこに任命されている。されているのだが、あまり取り上げられない。なんだ?花形装甲部隊を指揮下におくのに話題にもあがらないじゃないか?w
やっぱ人事ミスだな、組織の為に人を用意するのか、人のために組織のポストを用意するのかw


【部長の下に部長】
これは昔ばなしだ、僕の昔話だ。
部長の下に部長をつけたのを目の当たりにした。無論部長の上には事業部長なるものが君臨しておわす。
製造の部長の下に営業の部長をつけてしまったのだ。
製造の部長ともなかのよかった僕にとってはあまり影響ないことだったし、外回りが多かった僕は両部長の「ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん!合戦」をあまり見たりすることはなかった。
まーた二人とも同じ大学(早稲田卒)で歳も近いってのがなお悪い。
こりゃ人事ミスだよ。
が、残念なことに営業の部長はグーデリアンほどの信念みたいなものがなかった、会社こなくなっちゃった。
会社こなくなっても、月末にきて酒代の領収書の束をおいていくwww
そして、指揮官不在でも部隊運用はまったく影響なく運用されていたという事実。
(あのときの僕はシャールちゃん、上官だれでも同じ、戦果をあげよう、それが自分の任務)

【主演:グーデリアン】
後でわかること。二度の停止命令はミスであったということ。

ポーランド戦で鉄のかたまりは吐き出す機関銃弾にバタバタとたおされるポーランド騎兵。
だが、戦闘を開始するまでドイツ兵のなかには「ポーランド騎兵に対する恐怖」が刷り込まれていた。
結果をみれば四週間で中欧の大国が消滅してしまったのである。

何をどう捉えていたかの差にすぎない。

二度の停止命令もそこに含まれる。
結果からみれば西方電撃戦での「停止命令」はミスであった。
クライストが凡庸であったなら、ミスから学ばなかったはず。
バルバロッサで「先を争うGとK」、クライストは自分の判断は間違いであったということをきっちり学んでその後に生かした。
序盤クライストの部隊が振るわなかったのは、ユーゴスラビア、ギリシャ戦に投入され、バルバロッサ作戦時に部隊の集結がまになわなかったのが大きい。
戦後クライストは、アメリカ軍の捕虜となったものの、ユーゴスラビアにひきわたされ、戦争犯罪で懲役となり、さらにソ連に引き渡され、ソ連の収容所で生涯を終える。
この不遇の末路こそ、クライスト集団の与えた損害の大きさを意味するのではなかろうか?
マンシュタインは一時はソ連に引き渡されたもの、西ドイツの刑務所に収監され刑期なかばで釈放されている。
グーデリアンにいたっては東側からは、起訴されず、三年で刑期を終え、アメリカに招かれ軍学校で講義をおこなっている。

結末みてもグーデリアンはいろいろ主人公補正がかかってる。対してクライストにはマイナス補正がかかってる。反省して、そのあと頑張っちゃったのに、なんか裏目にでてる。かなり不遇なマイナス補正。
蛇足ながらルントシュテットはというと、西方電撃戦の時で65歳。つまりこの時でおじいちゃんなのだ。
終戦時に70歳、現役バリバリなんてのにムリがある御年。
終戦後の裁判にすら体力が持たないという理由で釈放されている。
ちなみに僕が子供の頃、「55歳定年」という言葉ができた。その時自分いくつだったかわすれたけど、「定年」という言葉の意味がわかる歳だった。つまりなにが言いたいかってーと、その55歳定年という前は、定年は50歳だったのです。
そう考えると73歳で裁判を受けるのにムリがあると思う。それ以前に70歳で現役の軍人ってのもすげーよ。


で、ルントシュテットの年齢が何故でてきたかっていうと。
ルントシュテットより6つ若いクライスト、12歳若いグーデリアン。
獄中死するクライスト、三年で出されて、以前の敵国に招かれて講義して、本かいちゃったり、のんびり余生を過ごせたグーデリアン。
やっぱりグーデリアンには主人公補正がはいってるようにしか思えない。(結果からですが)

【虎は死して皮残す、人は死して名を残す】
グーデリアンは個として名前を残した。
が、クライストは「クライスト集団」「クライスト装甲集団」「クライスト装甲軍」としてクライストの名を部隊に残している。
正しくは第一装甲集団とか第一装甲軍なのだが「クライスト」としてのほうが通りがいい。
対してグーデリアンの名はそのように使われることがあっても件数は減ってしまう。

A軍集団、B軍集団とかって記号的なものはあっても固有名詞を冠するものはそうそうない。
エーゼベック戦闘団とかって規模が小さいといっぱいある。カンプグルッペはなりがちだ。
大規模で固有名詞がついてそうなものは「ドン軍集団」「ヴァイクセル軍集団」ってのがあげられるが、あれはドン川やヴァイクセル川あたりで編成ってこと。


【なぜラジコンしてるクライストちゃん?】
この二号グーデリアンのイメージに起因します。
「言うことききやがれグーデリアン」

そんなイメージでコンポーネントする為に、このイメージを写真に収めたかったからつくったのが上記のアイテムです。


平成29年8月6日たけちよ記